介護事業所への助成金は国から支援してもらえるお金のことです。基本的に融資とは違い、返済の必要性がありませんから全額が介護事業所の収入となります。もちろん、タダでもらえるわけではありません。介護事業所を組織として法律に則ってきちんとした形で発展させるための資金で、さまざまな社内環境の向上を図った介護事業所に対して支給されます。現在では、介護福祉業界の人手不足が社会問題となっていますので、介護事業所向けの助成金がかなりの高条件で出ています。
政府の介護事業所向け助成金の主要なものとして、訓練給付金、職業能力開発支援促進給付金、キャリア・コンサルティング助成金の3つです。それぞれについてご説明します。
・訓練給付金
専門的な知識や技能の取得など、目的が明確な職業訓練(1コース10時間以上)について支給されます。所内の先輩が後輩に指導するものでなく、OJTでもないことが条件です。 福祉教育のための学校への入学金や外部講師の研修などの費用の3分の1(大企業の場合は4分の1)まで、最大20万円となります。なお、訓練中の従業員の賃金の助成もありますが、限度が設けられています。
・職業能力開発支援促進給付金
従業員が自発的に行うスキルアップを支援する制度を、就業規則に記載し、その支援を会社が行った場合に助成されます。内容的には訓練給付金と類似しています。
・キャリア・コンサルティング助成金
従業員に、キャリア・コンサルティングを受けさせたりすると助成される制度となります。費用の半額、最大50万円の助成があります。
助成金を利用するには、まず、職業能力開発推進者を選任して、各都道府県の職業能力開発協会へ届け出を行います。その後、労働組合などの意見を聴いて、「事業内職業能力開発計画」を作成します。それをベースとした年間計画について、雇用能力開発機構で認定される必要があります。受講や受検前にこの認可を受けなければ、助成金の対象にはなりませんので、注意が必要です。
助成金を受給するためには、体系的で段階的にステップアップできる研修計画を立て、訓練計画を作成することが重要となります。なんのためにこのコースを受けさせるのか?なんのために技能検定を受けさせるのか?ということを明確にした計画を立て、さらに作成した計画は社内に周知させることが必要です。意図的に一部の者しか受けさせないような計画は受理されません。なお、助成金の対象者は、雇用保険の被保険者で、役員は対象外ですので注意しましょう。