外国人技能実習生という制度をご存知でしょうか?知識や技術を習得させるという条件で、アジア各国の20~30代の外国人労働者を受け入れるという制度なのですが、実はこの制度に介護を加えようとする動きが出てきているのです。もしも、介護を加えた場合、どのような問題点が考えられるでしょうか?
超高齢社会を迎えた日本において深刻な問題となっているのが介護職員の人手不足です。今後もこの人手不足は深刻化していくことと考えられます。そのため、一人でも多くの人が福祉業界で働いて欲しいと望まれています。その延長として、外国人の介護士さんのニーズはもちろんあるはずです。実際、アジア各国の方々で日本の介護職に就いている人もいて、とても活躍されています。そういった人たちは長く日本に住んでいて、子育てが終わり、再就職に介護職を選ばれた人が多く、言葉の壁などをあまり感じることなく、スムーズに高齢者介護をされているようです。
長く日本に住んでいる外国人の介護士は問題は少ないですが、外国人技能実習生として来日して介護に携わる人にはいくつか問題点が考えられます。まず初めに問題点としてあげられるのが「言葉の壁」です。前述のように、日本での滞在が長い外国人であれば、言葉の壁は低いと考えらます。しかし、外国人技能実習生という制度を利用して、あまり日本語が喋れない状態で来日して、研修を受けて、知識や技術をマスターし、現場へ出るという流れになると、コミュニケーションが取り難い状態からのスタートとなります。ヒアリングだけでなく、読み書きまで含めると、これは大きな壁となるでしょう。
しかも相手は高齢者です。耳が不自由な人や方言のある人など、言葉のハードルをクリアすることはとても難しいでしょう。言葉の壁の問題をクリアするには時間もかかると思われ、難しい課題として残ります。
これまでに外国人技能実習生という制度を利用して、日本で学んだ外国人はたくさんいます。しかし、現実問題として外国人実習生の約3%が行方不明の状態になっているというのです。失踪の理由は色々と考えられますが、実際の問題として介護の現場で働きだした後に急に失踪されたりすると、現場は大混乱になってしまいます。現状では、法整備も進んでおらず、失踪を防ぐ手段や失踪してからの手立てなどが明確になっていない状態です。これも、大きな課題として残ります。
このように、外国人技能実習生という制度に介護を加えるには、いくつかの問題点が考えらます。もし、その施策を進めていくのであれば、その問題点をクリアして、家族や本人が安心して快適に過ごすことができるような施設づくりをして欲しいものです。